木曽駒ヶ岳登山(沖本氏追悼登山)

 

8/23にかけて南アルプス主峰の木曽駒ヶ岳(2956m)へ登山してきました。本登山は昨年の夏に実施する予定でしたが、直前に台風の来襲で中止せざるを得なくなり、今年に持ち越しとなっていました。例年、近畿周辺の山や信州方面の夏山登山を計画してリーダーとしてお世話いただいていました沖本氏が昨年末に急逝され、ご冥福を祈り追悼登山として実施することにしました。今回の参加者は総勢9名(谷口、家村、角田、大原、渋谷、山口、藤田、林、大久保)で、2台の車に分乗して午前6時半過ぎに水無瀬を出発。大山崎ICから名神高速道路、中央道自動車道を経由し、駒ヶ根ICから一般道に出て菅の台バス停留所に午前10半頃到着。ここから登山バスに乗換えてロープウエイしらび平駅へ。さらにロープウエイに乗換えて千畳敷駅に午後0時過ぎに到着。約8分間の空中散歩でしたが、前日に沢山降った雨の影響か絶壁の谷から白い水しぶきとなって流れ落ちる滝を数カ所みることができました。千畳敷駅は日本最高所駅(2612m)とのことで、下界の猛暑から一転してひんやりとした、大気に包まれた涼しい所に降り立ちました。駅には鉄筋コンクリート2階建ての赤い屋根の立派なホテル千畳敷が併設されていました。ホテル裏の休憩所で昼食を取り、登山届を提出して宿泊先となる宝剣山荘を目指して登山を開始。駒ヶ岳神社を横切って千畳敷カールの遊歩道を歩いていると、早速、足元に高山植物のミヤマクロユリをみかけました。千畳敷カールは氷河期に形成された典型的なカール地形です。千畳敷からカール全体の眺めは、真夏の青空、そして鋭い穂先の宝剣岳など、絶壁の岩と谷筋の岩肌、高山植物の緑、白い花びらをつけた大きなコバイケイソウ、黄色い花びらのシナノキンバイやミヤマキンポウゲなど、カール地形を背景に青・白・緑・黄色のコントラストが美しく、写真集でよく見かける夏山シーンです。遊歩道をしばらく歩いていると八丁坂分岐点に到達。ここから急な上り坂が始まり、何回か休憩を取り入れながら登って行く途中に、下方面を振り返ると赤い屋根のホテル千畳敷が箱船のように見えてきました。また、大きな巨石がオットセイの形にも見えて、周りの景色に癒やされホッとすることもありました。休憩を含めて約1時間半位でしょうか、八丁坂を登り切り、乗越浄土に着くと視界が一気に開け、目前には宝剣岳がせまり、近隣の山々を見渡すことができました。ここからは宝剣山荘の山小屋が近くに見えていました。山小屋でチェックインした後、荷物を預けて宝剣岳山頂に挑戦しました。宝剣岳は中央アルプスの中では険しい岩場の山で、どこから見ても鋭くとがった三角錐を突き上げ、人を寄せつけないような雰囲気をもっています。過去に滑落事故が何回も起こっている場所ですので、最新の注意を払いながら登り始めました。途中、岩盤に打ち込まれた鎖を頼りに宝剣岳頂上(2931m)にやっと到着。頂上には尖った大きな石があり、その石の上に登ろうとしましたが、高所恐怖症のため登るのを諦めました。しかし、見知らぬ登山者の男性1人がその石の上に登り、何やら「山の神・・・」なんとか、続いて「エイサー、エイサー・・・」と叫び始めたことにはビックリ、その力強い叫びに圧倒されました。下山後、山小屋内では夕飯まで少し時間があったため缶ビールを飲みながら談笑して時間を過ごしました。この時期、夏山登山の最盛期ではありましたが、寝場所は3階屋根裏の大部屋で登山客は我々以外に大阪市内から高速バスを利用してやって来た若い女性の二人連れだけで、ゆっくりスペースの寝床で、夕食後早めに就寝としました。夜中の午前3時前に目がさめ、山小屋の外に出て夜空を見上げたところ、天気が良かったせいか、キラキラと輝く満天の星空を眺めることができました。午前5時頃、山小屋裏の小高いところに上がり、最高の天気の中で、近くの伊那前岳の左前方から、御来光を拝むことができました。その後、朝食をとり午前6時半頃から中岳を目指して登山を開始。登坂中、後ろを振り返ると昨日登った宝剣岳山頂や宝剣山荘が眼下に見えていました。山小屋を出発して20分くらいで中岳山頂(2925m)に到着。頂上からは目の前に木曽駒ヶ岳の山頂、左の奥の方には長い裾野を広げた霊峰・御嶽山が見えていました。一休憩後、中岳から一旦下り、下った所に頂上山荘があり、その横から再び登りが始まりました。木曽駒ヶ岳の頂上(2956m)には午前9時前に到着。木曽駒ヶ岳は鋭い穂先の岩山である宝剣岳とは対照的に、なだらかな女性的な山容です。山頂からは左奥に御嶽山、その右奥に乗鞍岳、穂高連峰、八ヶ岳連峰、南アルプスなど、360度の展望を望むことができました。登頂を果たせなかった沖本氏に「沖や〜ん」と天に向かって叫んでしまいました。駒ヶ岳神社に無事登頂報告した後、全員揃ったところで、昨年急逝され登頂を果たせなかった沖本氏に対してご冥福を祈り黙祷を捧げました。帰りは登って来たルートを辿って宝剣山荘に戻り、荷物を整理した後、千畳敷カールの遊歩道へと下山しました。八丁坂分岐点まで戻った後、昨日とは別の遊歩道を通ってカールの底部に当たる剣ヶ池の広場に到着。ここからのカール全体の眺めは絶景スポットで、カール壁の真上には昨日登った鋭い穂先の宝剣岳がそびえ立ち、カール周囲には厳しい自然の中で、この時期を待っていたかのように可憐な高山植物の花々が咲き誇っていました。記念撮影後、遊歩道を通ってロープウエイ千畳敷駅へ。一休憩後、午前10時半過ぎにロープウエイでしらび平駅へ。ここで臨時の登山バスに乗換えて駐車していた菅の台のバス停留所に降り立たしました。近くの温泉「こまくさの湯」にゆったりと入り、登山の汗を流して昼食を取った後、来た時と同じルートで水無瀬に帰ってきました。